東京農業アカデミー 八王子研修農場

卒業生インタビュー

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第2期生
(2年度)

吉岡 信一さん

就農地:八王子市

栽培作物

キャベツ、ネギ

就農1年目から変化したこと

栽培面積は、就農当初の倍になりました。
地主さんは造園業を営んでおり、まだ借りられる農地があると聞いていたため、当初から面積を広げたいと伝えていました。繁忙期には私自身が手伝いに行くなど、日頃からこまめにコミュニケーションをとり、自分の畑を丁寧に管理して信頼を得られるよう努めてきた結果、農地を追加で借りることができました。
また、地域の消防団に入り、地元の人たちと積極的に関わるようにしています。

労働力の確保について

基本的には一人で作業していますが、農繁期には、週3回、1回2~3時間程度の有償ボランティアに手伝ってもらっています。
1・2年目は出荷できるものが少なかったのですが、3年目は3月からネギを出荷できるように作付けを工夫しました。春先の収入が安定し、人を雇う体制も整ってきました。

アカデミーの同期メンバーや指導員、当時出会った農業関係者、就農地域の農業者などとの交流はどのように行っていますか?

メッセージアプリのグループで、同期や先輩・後輩と近況を共有しています。昨年は、アカデミー研修生の農家派遣研修や視察研修などで私のほ場に来た人もいました。
八王子で就農した後輩には、補助金申請や市役所での手続きの方法など、自身の経験を共有しています。
私が研修生のときに農家派遣研修でお世話になった農家さんとは、毎日顔を合わせるぐらい近い距離にいるので、今でもよく話をしています。

卒業生インタビュー
新規就農時と現在をくらべて成長したと思うのはどんなことですか?

農作業は1年、2年と通してやってみて初めて流れが見えてきます。自分はホームラン(大きな収益)を狙うより、安定したヒット(成果)を出すアベレージヒッターになることが大事だと思っています。そのために、定植する時期をずらしたり、同じ作物でも複数の品種を組み合わせたりしてリスクを分散しています。
農業は自然災害による影響が大きいですから、収穫時期を分散させることで雹(ひょう)などの被害を受けても全滅を避けられます。

現在の課題や問題点について、どのような対策が必要だと感じていますか?

今後は人手を増やしていきたいと考えていますが、そのためには人件費が新たに発生するので、売上とのバランスが課題です。設備投資も継続中で、機械と人材の最適な組み合わせを模索しています。品目を増やさないのは、機械を効率的に運用するための工夫でもあります。
農作業は、ときに命に関わるような危険も伴います。夏の熱中症や急な降雹などの対策が必須です。今借りている畑は市街化調整区域で、基礎を打つ建物が建てられません。できるだけ安全性を高めるために、ハウスのパイプを太く丈夫なものに替える計画を進めています。

今後の農業経営の目標や抱負などを教えてください。

将来的には、農業が子どもたちの「なりたい職業」の上位に入るような社会になってほしいと考えています。そのためにも、農家が楽しく働く姿を地域の子どもたちに見せて、ポジティブな印象を持ってもらいたいと思っています。
それと同時に、新規就農でも会社員と同じくらいの収入が得られるということを知ってもらい、農業が職業としての選択肢になるように活動をしたいですね。

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アカデミーでの学びをどのように生かされていますか?アカデミーへの入講を考えている人、就農を控えた後輩へのアドバイスをお願いします。

アカデミーでは、野菜の栽培だけでなく、個人事業主としての農業経営の基礎も学びました。私は入講時から、すでに個人事業主としての意識を持って取り組みました。
また、作付け計画を立て、収入を見通す力を身につけられたことは、大きな成果です。就農後は作業に追われ、計画を立てる余裕がなくなります。だからこそ、在学中にそうした習慣をつけておくことが大切です。

アカデミーは卒業後のサポートもあり、これほど恵まれた環境は他にないと感じています。限られた時間の中で積極的に学んでほしいと思います。